タレブ氏の著作ブラック・スワンー不確実性とリスクの本質を紹介します。
ブラック・スワン(黒い白鳥)とは、まずありえない事象のことであり、次の三つの特徴を持つ。予測できないこと、非常に強い衝撃を与えること、そして、いったん起こってしまうと、いかにもそれらしい説明がでっち上げられ、実際よりも偶然には見えなくなったり、あらかじめわかっていたように思えたりすることだ。
ブラック・スワン
最近おこったFTXの破綻はまさにブラック・スワンだったと思う。
業界大手の仮想通貨取引所の破産だけでなく、出金停止なんて誰が想像しただろうか。ブラック・スワンである。
予想通りにいくことなんて少ない
人生もそうだけど、思い通りにいくことなんてあるだろうか?そうでない時も多いと思う。思い通りにいかないことがとても多い。
黒い白鳥の例は、【全ての白鳥は白い】という前提が、要は間違っていたと言うことなのだが世の中ある種の思い込みだったり、常識が後にたった1つの反証でくつがえることはままある。人間は帰納法が好きらしい。
黒い白鳥と仲良くするには
皆、帰納法が大好きだ。相場でも何でも自分の手法をもって一般化したがる。でも、帰納法が上手くいかなくなることに気づくのはかなり難しい。
さらにパターンを見つけるのも好き。過去のパターンから講釈をたれるのも好きだ。
これは、マーケットが下がったときに何か【理由】を求めるのと同じ。企業業績が悪化したニュースをみて暴落することもあれば、悪材料出尽くしで上がることもよく経験する。
黒い白鳥は実はいろいろな種類がある。可能性は高いが影響は小さい損失と可能性は低いが影響は大きい損失があった場合、人間は可能性は低い方を無視してしまう傾向がある。そしてだまされる。時に人間の直感は上手くいかない。ランダムなものをランダムだとは認識しないからだ。
ありそうもない事象の評価の誤差はとても大きくなる。予測には限界がある。
まあ、ともかく難しい。上巻の最後には賢者について語られる。
「賢者とは、将来に起こることが見える人のこと」とよく言う。でもたぶん、賢者とは、遠い将来に起こることなんか見えるもんじゃないと知っている人のことだ。
ブラック・スワン
僕たちはふだんおこりそうもないことは無視している。隕石が降ってくるとかそういうことは無視していると思う。
さて、下巻ではさらに不確実性とリスクの本質について続く。
ボラティリティとリスク
人は損をすると恥ずかしく思うことが多い。リスクをとっているのだから別にそれは不思議なことではないはずなのにだ。日本はボラティリティ(上下変動)を嫌い、代わりに吹き飛ぶリスクをとる人が多いらしい。オプション売りが好まれる理由。
ただし、これは吹き飛ぶリスクがある。
タレブ氏のバーベル戦略
バーベル戦略とはこんなやり方だ。黒い白鳥のせいで、自分が予測の誤りに左右されるのがわかっており、かつ、ほとんどの「リスク測度」には欠陥があると認めるなら、とるべき戦略は、可能な限り超保守的かつ超積極的になることであり、ちょっと積極的だったり、ちょっと保守的だったりする戦略ではない。
ブラック・スワン
バーベル戦略というのはたとえば85-90%を安全な資産に投資する。アメリカ短期国債みたいなやつ。
残り10-15%を投機的な賭けに投じる。レバレッジの効いたオプションとか。
どういうことかというとブラックスワンに対してひどい目にあわず、堅いところは守られている。
全体のリスクとしては中ぐらいだけど、ブラックスワンの対策はできている。
オプションでこういうポジションとして、プットバックスプレッドがある。
人生にあてはめてみると、結局なにがあたるか(良いブラックスワン)はわからないのだから、いろいろチャレンジした方が成功する確率が高くなるという、なんだか聞いたような話になる。
まとめ
ブラックスワンの話をしていたら人生の話になってしまった。重要なことは何が起こるかわからないことが、ままおこるということ。その一方で、自分ができることはコントロールすることができる。なので、日々準備をしながらブラックスワンと仲良くしようと思う。
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