医学部入学条件として特定の地域で働くことが求められる「地域枠」制度、
地方の医師不足を解消する狙いで導入されていますが地域から離れる医師の増加が深刻な問題となっています。
こうした背景から、専門医資格条件がペナルティーとして使用されています。
本記事では、現状と今後の地域枠制度について解説します。
医学部の地域枠制度
医学部地域枠
卒業後に一定期間(通常は9年間)、特定の地域で働くことを前提にした医学部の入試枠。
入学しやすかったり、奨学金が支給されたりする。
地方の医師不足を解消する狙いで、都道府県と大学医学部が協力して設けている。
全国の医学部のうち70が設け、
定員は総定員の18%にあたる計1679人
メリットは、難関の医学部に入りやすくなり、奨学金までもらえる制度なんですね。
地域枠制度における罰則について
山梨県は、今年度から「違約金」制度を導入しています。
山梨大医学部の地域枠学生は、医師免許取得後、県内で9年間働くことを約束し、
守らなければ最大約842万円の違約金が課されます。また、地域枠で入学する場合、月額13万円の奨学金を受け取ることも条件で、約束を守れない場合は年10%の利息が加算され、最大2340万円の返済が求められます。
地域枠は法律で縛られているわけではないので、現状は金銭的に解決するケースは散見されます。
ちなみに、このような罰則があるのは日本だけだそうです。
結婚、介護、子育て、家業の継承などの事情は免除の正当な理由として考慮されていません。
地域枠の縛りが強すぎるのではないか?という話がでてくるのも上記の背景があります。
地域枠制度に対する声
Twitterから抜粋させていただいております
旭川医科大学の地域枠
入学前「後期研修まで北海道内で働いてくれるだけでOKです🙆♂」
↓
入学後「旭川への入局が必須である!道内の市中病院へ行くなど地域枠離脱、裏切り行為だ!診療科の希望など知らん、恩返ししろ😡💢」※学生のうち50%が地域枠 pic.twitter.com/NDhTuQjskx
— 炎の研修医 (@DrHonoh) March 17, 2023
医学部受験の地域枠ってのは本当に人生を左右する選択。地域枠合格の場合、18歳なら30歳真ん中位までは地方とはいえやろうと思うかもだが、多浪となると40歳越えで地方生活とかあるわけですよ。お金ないが医者になりたいから地域枠を狙うってのは本当に人生賭する覚悟が必要。一般で受かりたいよね。
— 名古屋の英語専門・医学部受験家庭教師@来年度生徒募集中 (@case313) March 20, 2023
期間が長いこともあり、医師人生の大きな流れが決まってしまうので覚悟は必要かもしれません。
旭川医科大学のケースでは、入学後にルールが変わったりしてネガティブな印象は否めません。
9年の縛りの間、地域枠以外の医師は自由に選ぶことはできるので(医局人事の場合はあまり自由ではないのですが)大きな差となっています
ペナルティーの議論
そもそも、金銭的なもので解決して良いのかという議論もあるわけで、
例えば美容系に進んで一気に返済という対応もできてしまうわけです。
そもそも勤務地選択の自由を制限してしまう問題もありますね
また、離脱医師を雇った側の病院側にペナルティーというシステムが導入されています。
地域枠を離脱すると専門医がとれない?
地域枠離脱では、専門医認定が原則として行わない方針となることが検討されています。現在のところ、明記まではいっていないのですが今後も同様の議論でペナルティで縛るという方向に進んでいるのは間違いありません。
まとめ 地域枠制度の今後
地域枠制度は地方の医師不足の解消などの目的で導入されています。
地域限定の医師免許にするとか、地域ごとのニーズに対して柔軟に対応していくというシステムでも良いかもしれません。一方、もともと自由に働くことができるのが医師免許でしたので、引き続きペナルティーシステムは議論されていくと思われます。
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