QYLDは毎月分配型の高配当ETFです。今回は最近発表されている分配金情報などをもとに見通しなど整理してみます。
QYLDの分配金情報などはグローバルXのサイトで公開されています。
QYLDについてはカバードコールETFという特殊な運用をしています。NASDAQ100をロングしてATM周囲のコールを売るという戦略です。
ATM(At the money)は現在の株価だと思ってください。なので、運用自体は値上がりを放棄する代わりに(株価が大きく値下がりしなければ)一定の利益が得られることになります。
基本として、相場が強いまたは落ち着いている状況で無いと機能せず、暴落には弱いです。
こちら解説記事になります。
>> NASDAQ100カバードコールETF 毎月分配型の高配当ETF【うまい話には罠がある】
結論として
QYLDは面白いETFだと思いますが、長期のパフォーマンスは基本低迷するので、私はオススメしません。
QYLDの分配カレンダーより
昨年度より2022年は減配傾向となりました。それでもまだまだ高い利回りを維持することが予想されます。12月の分配金と比較するとすごい減っている感じしますが、2021年12月の分配金が特別高かったようです。
2022年分配カレンダー
NASDAQ年初来の下落で徐々に分配金は下がってきてますね。9月ぐらいまではアメリカの金利が落ち着かないとみられているので更なる低迷も危惧されています。
分配金は維持されているが、株価が低下してくるとさらなる減配リスクも
QYLDの月足チャートです。株価は下がっていますが配当は維持されているという状態です。どこかでバランスが崩れてくるので、そうなるとタコ足型運用になる危険性があります。高配当株などの宿命なのですが、このあたり判断が難しいですよね。
株価が回復するなら問題無いが、株価が低迷するとQYLDのパフォーマンスはピンチになる可能性があります。
なので、リスク時の安全資産を狙う高配当投資が逆に危険になる可能性が。。底から回復基調となってからの買い入れが安全かもしれません。
既にQYLDはコロナショック程度まで下落
QYLD月足。2022年からの下落がひどいです。
高配当株、ETFについてはこちらの記事で危ないのか?どうか検討を行っています。
>> 高配当株、ETFは危ないのか?検討してみる【QYLD, VYM, 個別株 etc】
JEPI(JPMprgan Equity Premium Income ETF)について
JEPIはアクティブETF、毎月分配で低ボラティリティ、SP500に近い値動きを目指すETFです
2020年5月21日に設定され人気があるようです。株式の米国大型株約80%とオプション取引などを組み合わせてインカムを得ようというコンセプトです。
ELN(Equity Linked Note)という仕組債を使っていて、SP500のコールオプションを使うカバードコールになるようです。
複雑な運用であり、アクティブということもあり経費が高い問題点がありますがQYLDよりも0.35%と経費率が低くなっています。それでも、パッシブなSP500連動ETFの方が無難に思います。原資が減ってきてしまうと、運用が難しくなるので後述するタコ足型運用になってしまいます。
JEPIも良さそうですが、カバードコール部分を有しているため平均パフォーマンスは劣後することが多いのは過去のデータよりいわれています。相場がある程度安定している間は非常に高いパフォーマンスを示します。暴落時とその回復時にはおそらく低いパフォーマンスを示すものと考えられます。
QYLDのリスク タコ足配当とは
タコ足配当とは、原資を取り崩しながら配当金を維持している状態です。配当金が高いため魅力的に感じられますが、自転車操業状態に近くなるので業績や財務リスクを抱えます。タコが自分の足を食べるのに似ていることから、このように表現されます。
QYLDはETFなのでETF分配金が配当金です。ETFの分配金=配当・利息ー諸経費 で計算されます
QYLDはコールオプションの売り分で分配金をまかなうというのがコンセプトです。
なので、オプションプレミアムで全てまかなえていれば配当金も得られるし、皆ハッピーです。
ですが、
株価の大きな下落時は、NASDAQ100のロングで損失が出ること、オプションプレミアムで損失がカバーできない事態が生じる
カバードコールで運用している限り株価の上昇を放棄します。下落相場では現物のロングが痛みますので、軽い下げでしたらプレミアムでカバー。それ以上の下げはこれまでの利益分を配当金支払いに回すという形になります。原資を取り崩す形になるのでタコ足型運用になります。
タコ足が続くと。。。償還リスク
株価がとんでもない下落、暴落が続くとファンドの運用が困難になり、運用をやめてしまい株主にお金を返す償還という事態がおこりえます。QYLDについては分配利回りが魅力ですが、逆に言うと利回りが高すぎる状態となる危険性があります。
▼▼注意しないといけないのですが、償還するファンドは金融ショックが無くても平時から結構あります。どんなファンドが償還されやすいかなど調べていますので、関連記事も参考にいただければ幸いです。
>> レバETF、投信を買う前に償還リスクを今一度確認してみる
>> 3倍以上のレバレッジETF、投信もいいけど償還してしまったら意味ない
QYLDの分配金が安定している=NASDAQ100が調子が良い が成立する
QYLDはカバードコール運用なのですが、カバードコールが安定するということはNASDAQ100が上向いている状態です。平時はNASDAQ100が調子よいので問題ありません。
カバードコールが最も機能する局面はヨコヨコ。ちょっと上昇、ちょっと下落 ○
暴騰(損はしないがリターン低い)と暴落(損に加えて償還リスク)はダメ ×
逆に言うとQYLDの調子が良い=NASDAQ100の調子が良い が成立するとき、ほぼ常にQQQ,QLDのパフォーマンスがQYLDを上回ります。QQQで運用して適宜換金が負けにくい投資方法と言えるでしょう。
QYLDの弱点は下落相場です。耐えられれば良いのですが過去のカバードコール戦略はひどい成績をあげています。
これはカバードコールが相場変動を上手くカバーできていないことを示しています。
リセッション時は減配で済めば良いですが、最悪繰り上げ償還の損切りがあります
この点はQYLDについてオススメしない点です。だってさ、金利が上がってくれば債券買うでしょ?