下落を乗り切るスプレッド集

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Harvです。日経もダウもNASDAQも乱高下しており皆不安だと思われる相場環境になってきました。

一方で、ボラティリティ(ボラ)が上がってきたのでオプショントレーディングはしやすい環境になりつつあります。

今後、下落を乗り切るスプレッドをいくつか紹介してみたいと思います。尚、常勝を約束するものではありません。

ボラティリティ

ボラティリティー(Volatility)とは、価格変動の度合いを示す言葉で高いボラティリティーは価格変動が大きいことを意味し、

低いボラティリティーは、価格変動が小さいことを意味します。

今日はオプションの話なのでインプライドボラティリティIVの話になります。以下、ボラティリティという表現についてはインプライドボラティリティのことを指しているとご理解下さい。

インプライドボラティリティ

オプション取引の市場で取引されている実際のオプション価格から逆算して導き出されるインプライド・ボラティリティ(Implied Volatility、IV)。

インプライド・ボラティリティの計算にはブラックショールズモデルなどが用いられ、原資産価格、権利行使価格、金利、残存期間、原資産のボラティリティという構成要素からオプション価格(理論価格)を算出します。

実際の市場オプション価格をもとに同方程式の構成要素である原資産のボラティリティを逆算するアプローチも可能。

大暴落時などは需給がおかしくなり時に狂った価格でオプション売買が行われるためボラティリティが異常な高値を叩き出すのはこのようなからくりによります。

ボラティリティはいわゆる恐怖によって上がります。ここだけは数字だけのお話しではなく、人間の心理を反映するので個人的には面白いなあと思っているパラメータです。めちゃくちゃ単純に言うと、皆が楽観、スレッドの書き込みなどでの買い煽り時はボラが低い傾向で皆買っているような状況。それが下落や暴落で崩れて悲観、売り煽りが増えてくるとボラが上がっているそんな感じです。マーケットがどのように考えているかを端的に表している数値となります。

何らかの経済関連のショック時などがもっとも激しい動きになります。

急激に上がり多くの退場者を生み、その後落ち着くという動きになります。いわゆる素人手出し無用というやつですね。

ハイボラ環境ではレンジ上で張り付くという動きではなく↑↓しやすくなります。往復ビンタを喰らうのも仕方が無い動きをします。

下の図のイメージです。

高ボラはとにかく値幅が出やすい
目次

相場環境の変化に注意、高ボラ時は値幅がでやすい

最近の下落でボラが上がっているときのように、下落局面でボラは上がりやすいです。逆に株価の調子が良い上げ相場の時はボラは落ち着きやすいです。オプション特性でよくいう上げのプット盛り、コール剥げですね。

では、上昇局面でボラは上がらないのでしょうか?実は上昇局面でもボラティリティが上がることはあります。

株価の急激な上昇、急騰によってボラティリティーは上昇します。いわゆる急騰ですね。

菅総理の退陣、ファイザーのコロナワクチン開発成功のニュースによって日経が1000円程度上がりましたよね。このときはボラティリティーが急上昇しました。コール売りや先物のショートカバー(踏み上げ)を巻き込んでIVが急上昇しました。

また、リーマンショック時やコロナショック後は下落も強烈ですが、リバウンドも1000円幅を超えるものがあり、上げも強烈です。

そのため一般的には相場のリバウンド時はIVは低下(剥げる)のですが、ショック後のような高いIVの時は株価が上がってもIVが低下せずむしろ上昇します。このようなときにコール売りなどで被弾すると相当な損失を招くことがあります。

低IVは値幅が小さくなるので、一定のレンジを形成します。そのためついついオプションを売りたくなりますし、高勝率のため勝てますが低IVの状態はIVが上がるリスクを抱えますので低IV環境でオプションを売る戦略は、実は大きな損失を負うリスクが高いのです。戦略の問題なので相場状況によってはオプションを売らないと勝てないときもあります。

ここまでのまとめ

  1. 高いボラ環境では値幅がでやすい
  2. 下落、暴落時のボラは上がりやすいが、稀に急騰でもボラが上がることはある

IVの動きはVIX指数(恐怖指数)でわかる

VIX指数とはVolatility Indexの略で、シカゴオプション取引所がS&P500種指数のオプション取引の値動きをもとに算出・公表している指数です。数値が高いほど、マーケット(人々)が相場の先行きに対して不安を感じているとされます。

VIXが高いという状態は、これからアメリカ経済が下がりそうだと皆が思っているということです。アメリカが下がると全ての国が影響するので全世界株安になります。

なんとかショック時はVIXが上昇する

VIX50近くいくとなんとかショックという名前がだいたいついており経済が混乱したことがわかります。リーマンショックはVIX100近くだったんですね。現在のコロナショックもVIXチャートを見るところFRBの金融緩和をうけてもう1,2段の下げによるVIX上昇が待っているように思われます。VIX50を超えるとかなり上まで上昇する可能性は覚悟した方が良いかもしれません。また、VIXが一番高いところが相場の底で強制決済などで多くの退場者を生み、その後マーケットは収束に向かいます。

さきほど、VIXはIVを反映するといいましたがIVも同様の性質ですので、急激に上がりその後急激に低下するという性質を持っています。

そのため、ガチホ戦略は全く向かず比較的短期のトレードで利益をしっかり利確する必要があります。

下落を乗り切るスプレッド集

戦略としては、下落なのでデルタをマイナス、IVが剥げ(低下)ているときにベガをロング、ガンマをロングして大きな値動きを利益に変えるという戦略がオススメになります。

ベガショートはリターンとの兼ね合い。一番上でベガショート決めれば有効ですが逆光したときに損失がとんでもなくなる可能性があるのでオススメできません。ガンマショートも値幅が大きいので不利ですね。

相場がどっちに動くかわかれば苦労はしませんが、ここではマーケットの上下はわからないという立場をとってデルタは先物などでヘッジして±0のフラットを前提として以下を考えます。

ベガロング戦略

プロテクティブコール、プロテクティブプット

ベガロングはIVの上昇を利益に変えることができ期待値も大きいです。損失はオプションの買値で限定されます。セータはマイナスなので膠着状態になるとオプション価格が低下して損失がでます。IVが下がるとベガから思わぬ損失がでます。

基本戦術と言えますが、ベガが低下すると損失がでやすいのでIVを安く買って高く売ることが重要。つまりエントリーポイントが大事になります。また残存期間が長い方がセータが小さくなるので粘ることができます。

具体例 プロテクティブプット プット買い+先物ミニ買いでデルタヘッジ → ベガロング、ガンマロング

    プロテクティブコール コール買い+先物ミニ売り        → ベガロング、ガンマロング

暴落では下落に応じてオプションのIV(ベガ)が盛るので、先物がリバってIVが低下してきたところがエントリーポイントになります。あとは、ヨコヨコせずに先物が反落することで先物の動きはデルタヘッジにより利益も損失もほとんど出ず、ベガのプラスを狙います。

いわゆる両建てに近いですが、戦略としてはベガロング、ガンマロングですので今から大きく動くというところでのエントリーが有効です。

証拠金も少なく済むのでオススメ戦略です。セータはマイナスなので残存期間が短いといってこいには弱く短期間での一撃離脱が必要。

バックスプレッド

コールバックスプレッド、プットバックスプレッドがあります。ここ1,2年何度も試しましたが結論としては金融緩和状態ではあまりバックスプレッドは有効ではないという印象でした。今後、金融緩和が終わりボラがあがり値幅が出やすくなると出番が増えるのではないかと思っています。

バックスプレッドはニアを売って、大外の買い玉を使うスプレッドです。ガンマをフラット、ベガをフラットにするなどいろいろ幅がありセータをプラスにすることで平時はセータを回収しながら大暴落時のベガのプラスで利益を狙うという戦略がとれます。

戦術としては、買い玉のベガの上昇が利益の源泉になりますので買い玉を安く買って高く売ることが重要です。また、売り玉のベガが盛っているときにエントリーすることでIVの鞘を抜く狙いが生じて有利になります。

離れているファーのOTMの買い玉のベガが盛るには、相当なマーケットのストレス、先物の急激な下落などの要因が必要です。

ショートストラドル勢が売っているわけで、彼らが損切りを考えるような状況がこのスプレッドで利益を生むポイントになります。

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404: ページが見つかりませんでした | dr-harv-blog Dr_harvの日常の疑問やちょっと役立つこと、トラブル解決、資産形成についての様々な検討などの記録です。立ち寄っていただければ幸いです。
プットバックスプレッド

ロングストラドル

コール買い、プットを買いデルタをフラットにすることでベガロング、ガンマロングとなります。セータはマイナスなので、とにかく大きな値動きをすればプラスになります。先物レンジ上で、コールとプットが十分に剥げている状況で狙い目となります。

カレンダースプレッド

カレンダースプレッドは期近を売って、期先を売るという戦略です。見かけ上のギリシャ文字がベガロングとなるためセータもベガもプラスの最強スプレッド?と思ってしまうのですが、期近と期先のオプション価格の動きは連動しません。なので、やはりカレンダースプレッドはベガロング表記ですがベガショートとなり期近の売り玉がインすると苦しい展開となります。ディープにインすると、期先の買い玉オプションの流動性が低いなどの問題も生じるのでポジションクローズに苦労するなどの危険性があります。

カレンダーはベガショートの中では防御力が高いのですが、高ボラ環境ではボラティリティー収束時に有効なスプレッドです。無理してエントリーするよりはセリクラ後にポジションをとるぐらいが良いかもしれません。期先のボラティリティー低下で思わぬ損失を生むので、期近期先ともにボラが上がっているときも難しく、期近と期先のボラの鞘が開いているときにその鞘を抜く戦略となります。

ベガショートはリスクが高いので、損失限定ポジションで工夫

ショートストラドル

プット裸売り

レシオスプレッド

勝率も高く、皆好きなスプレッドですが、高ボラ時においては逆行したときに受ける損失が大きいです。リターンもそれなりに高いですが、リスクも高い。またベガショートのリスクは損失無限大というリスクになります。それならオプションの買いで利益無限大を追った方が夢がありませんか?勝率は低いですけども。

ベガショートで喰らうと退場を余儀なくされるほどのダメージになる危険性が高いです。

コールの裸売りやコールレシオは暴落時に喰らう危険性は低くなりますのでアリだとは思います。コールは先物の上昇でIVが低下するので理にかなった動きをするため比較的安全になります。但し、過信は禁物で売り玉の枚数は増やしすぎないようにしてリスク管理をすることが重要です。クレジットスプレッドはアリだと思います。

売りでの損失限定ポジは

プット、コールクレジットスプレッド。カレンダースプレッド でこのあたりはタイミングをみて投入するのはアリだと思います

まとめ

高IV環境ではボラが盛ったり剥げたり動きが激しい。

リバでボラが剥げる局面において先物の反落を期待してのベガロング戦略は有効。逆行したときのフォローのためデルタをヘッジしておく

バックスプレッドは大外の買い玉のベガが上昇する必要性があるので、買い玉のベガがあまり盛っていないときなどタイミングが重要。残存も気にする必要がある。

オプションの売りは買い玉と組み合わせて損失限定ポジにすることで退場を防ぐことができる。

ひとまずは以上です。



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この記事を書いた人

こんにちは、Dr. Harv です。専門医としてのキャリアを積む一方で、資産運用、副業、ポイ活にも取り組んでいます。
このブログ「dr-harv.com」では、日々の日常、投資の知見、趣味など幅広いトピックを扱っています。より良い未来につながることをコンセプトにしています。読者の皆様にとって何か役立つ情報を提供できれば幸甚です。

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